焼き魚といえば、日本人で食べたことがない方はいないと思います。毎日の食卓に出てきますし、外食でもかなりの確率で出てきます。その焼き魚が日本一美味しいといわれるお店が気仙沼にあります。東京でも京都でもなく、気仙沼にあるんです。
今回はこの「福よし」に行きましたので、そのときの様子を書きます。
場所
気仙沼魚市場から歩いて15分ほどです。駐車場もあるので、車でも行けます。ただし、車で行った場合は飲酒運転にならないようにお願いします。
行った時の様子
福よしの中に入ると、木目調のかなり広い造りでゆっくりご飯が食べれるようになっています。
メニューをみると、お魚の名前がずらり。値段は全て時価です。そのほかにお任せコースを3,500~7,000円くらいで頼めます。今回は7,000円のお任せを注文しました。
「どこから来たの？」きさくに話かけてくれる大将です。
「なんで、うちの店を知ったの？ へぇ、ネットで。ネットの評判なんて見たことないよ」
『美味しんぼ』や『BRUTUS』にも載り、シェフの三國清三さんも絶賛する気仙沼にあるお店。色々なメディアが取材に来ていることは容易に想像できます。この一言でそんなことよりも料理を大事にしたい。地に足をつけて店を守り続ける大将の人柄が垣間見えました。
「焼き魚は時間がかかるから、待っててね」。福よしの焼き魚は囲炉裏で長い時間をかけてじっくり焼かれます。美味しい焼き魚を食べるために来たんだから、いくらでも待ちますよ。
一品料理、お造り
前菜は「タケノコのしらす煮」。タケノコをしらすの出汁で煮込んだ料理です。一口で分かります。「あっ、美味しい」と。しらすの旨味をたっぷり吸ったタケノコの味。魚料理ではないのに、魚の味がはっきり伝わってきました。
そこから、一気に料理が出てきました。「イカふみそ焼き」。小鍋に乗って出てきます。「塩辛じゃないよ。これは塩辛が苦手な人でも食べられる」。イカの身と内臓を合えた福よしの人気料理のひとつです。「水分が飛ぶまでじっくり焼いてね。焼けば焼くほど美味しくなるよ」。その言葉通り、楽しみにしながら、じっくり焼きます。
そして、「毛蟹の蟹味噌と身の和え物」。「もし、骨が混じっていたらごめんね。毛蟹は骨が多くてね。全部取るのは無理だよ」と言われましたが、もちろんほとんど骨は入っておらず、大将の気遣いがみえました。
次々料理が出てきます。「はい。お造り」。カツオやスズキ、珍しいところでマンボウの腸もあります。そして、「これはウニとワカメ」。「ウニはそのままよりも、ワカメと一緒に醤油で食べた方が美味しいよ」。そうなんだ。実際に食べてみる。ワカメのふんわりとした塩味がウニの甘味を引き立てる。確かに、ウニそのままを食べるのとは違う。お刺身も美味しい。新鮮で、一番美味しくなるように手間をかけている。こんなに美味しいカツオの刺身は初めてかもしれない。実際に市場まで足を運んで、一番美味しいカツオを吟味して仕入れてきた。食べただけでそんなことが伝わってくる。
ここらへんで「イカのふみそ焼き」も出来上がる。「美味しい！」。味が深くて旨味がたっぷり。それでいて味付けも濃くなくて、はらわたとイカの味をしっかり楽しめる。
美味しい魚しか出てこなくて、お口直しができない。途中にいまいちな料理を挟めば、よりこの美味しい魚が引き立つのに…という謎の考えが出てきてしまうほどの絶品の数々だった。
焼き魚
食べ始めから1時間ほど経ったでしょうか。「はい。お待たせ。カキの焼き」。大きいカキ3個が串に刺されて、炭火で焼かれたものだ。外はカリッと香ばしく炭火のほのかな匂いを感じながら一口かじると、中に閉じ込められたカキの旨味が一気に飛び出す。「美味しい」。初めて食べる味だ。「殻付きで蒸すのとは違うでしょ。このカキは今やっている朝ドラ(おかえりモネ)でも出てきたんだよ。カキはここが一番」。確かにこれは一番だ。
ここらへんでお腹いっぱいになってきた。焼き魚食べられるかな。という不安がよぎる。
「はい。焼き魚。吉次」。ついに出てきた。これを食べたくて来たんだ。見た目が綺麗すぎる。こんなにも綺麗に焼けるんだと思いながら、食べてみる。
最初は普通の美味しいを感じる。他のお店で食べる美味しい焼き魚の味だ。
これで終わったらそれほど感動はなかっただろう。でも福よしの焼き魚はそこからが違う。この普通の美味しいが消えた頃に炭火の香ばしさを感じ、そこから一気に魚の濃厚な旨味が解放される。口の中いっぱいに広がる魚の旨味。余韻が半端ない。これが日本一と言われる焼き魚か。今まで食べたことのない味だ。
美味しい。全部食べたい。魚の食べ方が綺麗でないのがこれほど悔しかったことはない。夢中で食べる。全部食べる。気が付けばさっきまでお腹いっぱいだと思っていたのに、その感覚すらなくなっている。
「はい、最後。お湯に生姜と醤油とねぎを加えただけのスープ。これに食べ終わった魚の残りを入れて、箸で潰して飲んでね」。まずは、最初にスープだけを飲んでみる。普通のスープだ。次は魚を潰したスープを飲んでみる。魚の甘味を感じる濃厚な旨味を感じるスープに変わる。
食べ終わりに「お腹いっぱいになったでしょ」。はい、なりました。こんなに魚だけを美味しくお腹いっぱい食べたのは、初めてです。
まとめ
「日本一の焼き魚」の呼び声高い福よし。普段馴染みのある魚料理がこんなにも美味しいんだと思いました。でも、焼き魚以上に印象深かったことがあります。それは、大将が魚の美味しい食べ方を知り尽くしていること。決して言葉にはしませんが、料理を通してぐいぐい伝わってきます。
気になるコスパですが、今回食べた7,000円コースですと、この内容で7,000円以上というお店はあれど、7,000円以下というのはまずないです。払った金額以上の満足度は得られます。
予約については、電話予約になります。予約なしで入れることもあるかもしれませんが、必ず予約して行った方がいいでしょう。私は以前に予約なしで突撃したことがありますが、普通に予約一杯で入れませんでした。。
今回は福よしを紹介しました。気仙沼で5,000円以上出してもいいので美味しい魚を食べたいという方は絶対おすすめのお店ですので、ぜひ行ってみてください。
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