【書評】2030半導体の地政学

書評
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最近よく耳にする地政学という言葉。

国は元来、位置する場所によって運命が支配されてきました。シルクロード貿易の中心であった中東はずっと争いの歴史ですし、反対に極東に位置するうえに周りを海で囲まれている日本は外敵が全然攻めてこなかったという歴史があります。そして国はこの特徴に応じて政治戦略を決めいく必要があります。

長らくこのような物理的な地理的要因が国の運命を決めてきましたが、近年新たな要因が加わってきています。それが半導体です。現代はデジタル情報をどれだけ持てるかが非常に重要ですが、そのデータの受け皿になり、電子的に処理するハードウェアが半導体なのです。

この本はその半導体にめぐって世界の国々が、国家安全保障を達成するために目論んでいる戦略に焦点を当てた本なのです。

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こんな人におすすめ

・地政学に興味がある人

・現代の世界政治で重要な事を知りたい人

・世界の見方を変えたい人

読んだ感想

半導体における地政学の重要拠点

半導体というのは、ひとつの工場でできるものではありません。現在の半導体の作成工程というのは非常に複雑で、工程毎に専門の会社が行っているのです。

まず半導体の設計。これは建物を建てるとき建築士にあたるものです。

次に半導体の作成。建物を建てるときの大工にあたります。

最後に半導体の使い方。これは住む人にあたります。住む人によって家の価値は変わりますよね。作ったけれど、その目的があいまいならばそもそも細かい設計ができません。住む人の細かい目的にあうように家を設計して作成しないと、いい家はできません。

これらの工程に専門の会社があり、各々の会社の品質がよくないといい価値ある半導体は作れないのです。

そして、会社というのはもちろん技術力に差があります。例えば作るので今、世界で一番の会社は台湾のTSMCです。つまりTSMCの技術力がないと世界で一番いい半導体はできません。

そのため、台湾はアメリカにとっても中国にとっても大変重要な場所なのです。もし、アメリカ中国どちらかにしか商品を提供しないとなったら、もう片方の国は大きなハンデを背負ってしまいます。

もちろん作るだけでなく、設計や使うについても同じような会社があり、それぞれを通した一連の工程が品質よくできるような国の状態を保たなければ国際情勢のなかで非常に不利な立ち位置になります。

そのような視点が身に付きます。

半導体をめぐる世界の国々の動向

実際に世界の国々はもう動いています。アメリカが国家政策で中国への輸出を抑えたり、逆に中国でも国内の半導体の開発を速めています。また、半導体の工程の一部で一番の技術を持っていたらそれだけで他国に牽制がきくので、そのような技術を持っている国はどうやって維持して国際情勢に使っていくか、持っていない国はどうやってその技術を自国に取り組んでいくか、色々な国の半導体戦略を学ぶことができて、デジタル地政学とおいう新たな視点で世界をみることができます。

日本の未来

日本はどうなのでしょうか。昔は日本が世界のトップだった時代がありましたが、今はそうではありません。では未来はどうなのでしょうか。もちろん、日本も半導体は重要なことは分かっていまして国として何とかしようとしています。

また、先ほど挙げたTSMCと東大が連携して研究を行うなど、世界の国々に負けないように、また半導体分野で他国にはまねできない技術を身に付けて地政学的にも力を強めていく。

そんな日本の取り組みについても知ることができます。

まとめ

今回は『2030年半導体の地政学』という本を紹介しました。始まりからすごく面白いうえに文体も読みやすくて、どんどん読んでいくことが出来ます。

世界の大きな流れを考える一助になる本です。おすすめです。

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