「ほや」と聞くと食べたことがない、もしくは苦手という方が多いと思います。
主に東北・北海道地方の太平洋沿岸(三陸沖)で食べられていますが、傷みやすいために関東以南では馴染みが薄い食べ物だと思います。
そんな「ほや」ですが、ただ食べるだけではなくて日本酒と合わせるとすごい化学変化が起きる、他にはない特徴がある食べ物なんです。今回はそのことについて書きます。
「ほや」とは
まずほやのご紹介から。
冒頭の写真のとおりに、見た目からちょっとグロテスクな感じを出しています。こちら、貝に思われがちですが、実は生物学的には貝でも魚でもなくて、動物に近い脊索動物の一種に分類されています。もはや、正体不明の不思議な存在です。凹凸のある形状から「海のパイナップル」と呼ばれていますが、味はパイナップルとは真逆です。
初めて食べた反応
ホヤを食べた方の話を聞くと、意見が真っ二つに分かれます。
「旨い!大好き!!」と「苦手…」の二つです。
そして苦手派は結構多い。むしろ最初は「苦手…」から入る方が多いと思います。話を聞いていると三陸まで来てわざわざ食べるべきか迷う食べ物でもあります。
ほやが苦手な人が多い理由
なんでこんな意見が別れるのでしょうか。理由はホヤの味が強すぎるからだと思います。
味覚には甘味・塩味・酸味・苦味・旨味の5種類あると言われていますが、ホヤはこの5種類全てが揃っている食べ物なんです。鮮度が良いものは甘味があり爽やかな味わいで、海そのものを食べているかのようだとも評される味がします。
これだけ聞くと美味しそうにも聞こえるのですが、食べると口の中に味が残って次に食べるものの味にも影響があるのです。5種類の味覚を刺激してなんとも言えない味が口に残る。この感覚に慣れない。これがホヤが苦手な方が多い理由だと思います。(反対に、この感覚が好きな人は美味しく感じます)
ほやを食べた後、水が甘くなる
しかし、実はホヤには隠れた真実があるんです。それは題名のとおり。日本酒の最強のお供であること。
試しに、ホヤを食べたあとに水を飲んでみると、なんと水が甘く感じるんです! これはホヤのグリシンやアラニンの作用で甘味を感じるためです。
水ですら甘く感じるホヤ。では日本酒と合わせるとどうなるのでしょうか?
正直言って美味しすぎます。普通に飲むのよりも何倍も酒の甘味を感じることができます。
安酒も大吟醸に早変わりです。では、大吟醸ではどうなるか。。。想像してみてください。
料理の味を日本酒が引き立てるというのはありますが、日本酒の味を料理が引き立てるというのは、なかなかないのではないでしょうか。
ホヤはそれができる食べ物です。食べるまでは気持ち悪いし、食べたら味が強すぎるしでハードル高いですが、それを乗り越えた先には今まで感じたことのない世界が広がっているのです。
この経験は三陸沖ならではです。東北地方は日本酒も美味しいので、今までの日本酒体験とは違う何かがあります。
ほやを食べられる場所、おすすめの料理
仙台だと、個人経営の居酒屋だと普通にメニューに置いている所も多いですし、ホヤ料理専門店もあります。値段も安くて、唐揚げやいかの塩辛を頼むのと同じくらいの値段で食べれます。
ただし、店によって味が大きく変わる食べ物でもあります。一般に美味しい料理を出すお店のホヤはクセが弱く、そうでないお店のホヤはクセが強いです。これはホヤが足のはやい食べ物で、時間が経つと磯の風味が強くなるためです。
また、食べ方でも味が大きく変わります。スタンダードなのは生ホヤの酢の物(ホヤ酢)ですが、生ホヤが苦手と言う方は、蒸しホヤを試してみてください。こっちのほうが苦みが少なく食べやすいですよ。(見た目は気にしてはいけません…)
食べるときは皮を剥くのを忘れずに。
生ホヤよりもっとホヤのクセを感じたい方は、ホヤの唐揚げを食べてみてください。
ホヤは三陸沖以外ではそれほど馴染みのない食べ物ですが、東北に来た際は、ホヤと日本酒の最強の組み合わせをお楽しみください。
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