今まで世界各国を旅してきましたが、そのなかでときどき「これは本物だ」と思えるものに出会うことがあります。
私が観てきたものの中では、トルコのカッパドキアやカンボジアのアンコールワット。
日本だと、富士山や豊島美術館(瀬戸内海にあるイギリスの美術雑誌で世界一と賞された美術館)などで感じることができました。それらを観ると心が大きく揺さぶられて、一生の経験となります。
わざわざこれを観るためだけに行く価値があると思えるもの。しかし、そう思えるものはそんなに多くありません。
今回書くさざえ堂は、そんな「本物」の雰囲気を持つ建物です。(ただし、さざえ堂自体は小さいため、会津若松観光と合わせるのがおススメです)
場所はこちらです。
東北新幹線の郡山駅で下車して、JR磐越西線で1時間ほど行き会津若松駅で下車します。そこから徒歩で15分ほどです。ただし、電車の本数は少ないので注意してください。
車でも同じくらいの時間です。飯森山の前に駐車場があります。
さざえ堂は、1796年に建立されており、正式名称は「円通三匝堂(えんつうさんそうどう)」といいます。(重要文化財指定名称は「旧正宗寺三匝堂」)。当時の飯森山には正宗寺(しょうそうじ)というお寺があり、その住職であった僧郁堂(いくどう)の考案した建物です。この2重螺旋のスロープに沿って西区に三十三観音像が安置され、参拝者はこのお堂をお参りすることで三十三観音参りができるといわれていました。また、上りと下りが全く別の通路になっている一方通行の構造により、たくさんの参拝者がすれ違うこと無く安全にお参りできるという世界にも珍しい建築様式を採用したことで、建築史上その特異な存在が認められ、平成8年に国重要文化財に指定されました。二重螺旋構造の木造建築物としては世界唯一のものとなります。さざえ堂のなかは、上りで1回転半、下りで1回転半で合計3回転することになり、三回転しながら観音様をお参りすることになります。
16mの高さの建物で、実際に入ってみますと本当に同じ道を通りません。歩いているとただ昇って降りているだけに思えるのですが、本当に違う道を通っているのです。途中で反対側の階段が見える箇所があるため、そこで理解できますが、そうでなければ分からないでしょう。普段、すれ違う階段に慣れているため、かなり不思議な感じがします。観音様の他にもお札が沢山貼っており、内観は異様な雰囲気もあります。ただし、このお札は200年前のではなく数十年以内に貼られたものと思われ、重い空気感ではないです。
建物の中は階段になっているかと思いきやスロープ状です。ただし、木造なので凹凸は結構大きくて、スロープと言うよりは細かい階段が連なっていると言ってよいでしょう。スニーカーならスロープだと思えるのですが、ハイヒールだと足が入りきらない階段が続く感じになってかなり辛いので注意してください。200年前にハイヒールは無かったんです。
途中あまり止まらないで歩くと、15分ほどで観終わります。ゆっくり観るともう少しかかりますが、そこまで時間はかからないでしょう。
さざえ堂は飯森山にあります。戊辰戦争の際に悲劇の死を遂げた会津若松の青年武士隊(白虎隊)の自刃の地でもあります。さざえ堂は白虎隊が死の直前に通った道沿いにあります。白虎隊が最後に身近に観た建物は、さざえ堂だったのでしょう。
さざえ堂はあくまで会津若松観光のスパイス的な役割ですが、だからこそ「本物」でありながらあまり知られていないのだと思います。
会津若松に観光に来た際はさざえ堂も観てもらえれば嬉しいです。きっと旅の豊かな経験のひとつになると思います。
コメント