岩手の一関と言えば世界遺産「中尊寺」が有名です。
しかし、ほかにもすごいお寺があるんです。
それがここ「達谷窟毘沙門堂」。
中尊寺よりも見所があると言う人もいる貴重な建物なんです。
歴史
達谷窟毘沙門堂は、あの中学校の歴史の教科書でも有名な平安時代の武官「征夷大将軍坂上田村麻呂」が創ったお寺です。
その歴史は1200年前にもなります。
当時、悪路王・赤頭・高丸等の蝦夷がこの窟に塞を構えて、住民を苦しめていました。
そこで、当時の天皇である桓武天皇が坂上田村麻呂を征夷大将軍に銘じて、蝦夷の平定を試みたのです。
激闘の末、坂上田村麻呂は悪路王・赤頭・高丸を倒し、無事に蝦夷を平定しました。坂上田村麻呂はこの勝利は毘沙門天のご加護と感じて、その御礼に京都・清水寺を模したお寺を建てて、108体の毘沙門天を祀りました。
それがここ達谷窟毘沙門堂なのです。
江戸時代や鎌倉時代よりも古い奈良、平安時代に東北で起きた戦いの歴史。
普段聞かないけれど、確かに存在したことを感じられます。
場所・行き方
場所はここです。
平泉駅からタクシーで10分です。バスや電車等はありません。遠くから観光で来る方も一ノ関駅でレンタカーを借りて車で行った方が楽でしょう。
目の前に無料駐車場があります。
お寺の様子
止まらずに歩けば10分足らずで全てを観れる、さほど大きくないお寺です。
入口にある壱之鳥居を抜けて
弐之鳥居を抜けて
参之鳥居を抜けると
毘沙門堂が観えます。
ここまでの所要時間は2分。壱之鳥居の写真の奥に参之鳥居まで観えているので大体の距離感が分かると思います。
毘沙門堂内は写真禁止なので、外観だけ。ちなみにこの毘沙門堂は、窟堂としては日本一の規模を誇ります。
祀られている毘沙門様は寅年守り本尊で、悪鬼を降し福を招き、財宝、官位、知恵、寿命の他に縁結び、子宝、学業成就。また戦神の故勝負事等の必勝祈願、諸々の願いが叶うと言われています。
願い事叶えすぎだと思うのですが、坂上田村麻呂が言うほどなのですからかなりすごすぎる神様です。
最強の御札とは
この洞内で授かることができるのが、「最強の御札」と称される「牛玉寳印」です。
元日からハ日にかけて、毘沙門天を始め、21ヵ座での加持祈祷を経てできあがる特製の護符で、尖った方を上にして神棚や玄関に貼れば、悪鬼を払い福を招くと言われています。
様々な後利益がある毘沙門天の御札で「最強の御札」として名高いです。
最強の御札で検索してもここしか出てこないので、本当に日本で一番最強の御札なのでしょう。
1月8日~11月22日に授かることができますが、たいへん人気で期間中でも無くなってしまう事もあるそうです。なお、直接お参りできない方は公式ホームページから購入することもできます。
岩手の一関に日本最強の御札があるのは意外でした。
北限の磨崖佛
また、毘沙門堂から30メートルほど西側には「顔面大佛」があります。
こちら約16.5メートルの高さに掘られており、顔の長さ約3.6メートル、肩幅約9.9メートルと全国で5指に入る大像で「北限の磨崖佛」として知られています。
以前は体の部分も刻まれていましたが、明治29年に地震で胸から下が崩落してしまいました。現在も摩滅が進んでいます。この磨崖佛は、前九年・後三年の役で亡くなった敵味方の諸霊を供養するため、源義家公が馬上より弓で掘りつけたと伝えられています。
今から1000年前に弓で掘った。それを間近に感じられる。不思議な感じというか時の流れを考えさせられます。
まとめ
一関地方は鎌倉時代以前の平安時代を感じられる場所。表舞台である京都から遠く離れた岩手でも歴史的な出来事は起こっていました。地方だからこそ京都とはちょっと違う東北の平安時代を感じられます。
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